SD-WANとは
SD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)とは、複数のWAN回線(光回線、モバイル回線など)をソフトウェアで一元管理し、通信の最適化・効率化を実現するネットワーク技術です。従来のWAN構成に比べてコスト削減と柔軟な運用が可能になり、VPNやファイアウォールの機能も統合できるため、企業ネットワークのあり方を大きく変えつつあります。
詳しい解説
SD-WANの仕組み
SD-WANは、ネットワークの「制御」と「データ転送」を分離する考え方に基づいています。中央のコントローラー(管理画面)から全拠点のWAN機器を一括管理し、アプリケーションの種類に応じて最適な回線にトラフィックを振り分けます。例えば、ビデオ会議は低遅延の専用線、メールは安価なインターネット回線、というように自動で経路を選択します。
従来のWANとの違い
従来のWAN構成では、拠点間を専用線(MPLS)で接続するのが一般的でしたが、コストが高く、新拠点の追加にも時間がかかりました。SD-WANなら、安価なインターネット回線を束ねてMPLSに近い品質を実現でき、クラウドサービスへの直接接続(ローカルブレイクアウト)も可能です。
| 比較項目 | 従来のWAN (MPLS) | SD-WAN |
|---|---|---|
| 回線コスト | 高い | 低い |
| 拠点追加の容易さ | 数週間〜数カ月 | 数日〜数時間 |
| クラウド接続 | データセンター経由 | ローカルブレイクアウト |
| 管理 | 回線業者に依存 | 自社で一元管理 |
| 冗長性 | 回線ごとの契約が必要 | 複数回線を自動切替 |
家庭用ルーターへの応用
SD-WANは企業向けの技術ですが、マルチWAN機能を持つ家庭用ルーターにも考え方が応用されています。光回線とモバイル回線を併用して、障害時に自動切替を行うロードバランサー的な機能は、SD-WANの簡易版といえます。
選び方のポイント
1. 導入規模と拠点数に合ったソリューションを選ぶ
数拠点の中小企業なら、Cisco Meraki やFortiGateなどの一体型アプライアンスが手軽です。大規模な拠点展開にはVMware VeloCloudやSilver Peakなどの専用プラットフォームが適しています。
2. 既存のセキュリティ機能との統合を確認する
SD-WANにはファイアウォールやIDS/IPS機能を統合したSASE(Secure Access Service Edge)対応の製品もあります。別途セキュリティ機器を用意するか、統合型で一本化するかで運用コストが変わります。
3. クラウドサービスとの親和性を見る
Microsoft 365やGoogle Workspaceなど利用中のクラウドサービスへの最適化機能があるかどうかも大事なポイントです。SaaS通信のパフォーマンスが向上すれば、従業員の業務効率にも直結します。
まとめ
SD-WANは、複数の拠点間ネットワークをソフトウェアで柔軟に制御し、通信コストの削減と品質向上を両立する技術です。従来のMPLS回線と比べて、導入・運用コストを大幅に抑えられるケースが多くあります。拠点数や通信要件を整理して、自社の環境に適したSD-WANソリューションを検討してみてください。