マルチマテリアル3Dプリントとは
マルチマテリアル3Dプリントとは、1回の印刷プロセスで複数のフィラメント(色や素材の異なる材料)を使い分けて造形する技術のことです。FDM方式の3Dプリンターにおいて、マルチカラーの造形や、硬い素材と柔らかい素材を組み合わせた機能的なパーツの制作が可能になります。Bambu LabのAMSやPrusa MMUなどの仕組みが代表的です。
詳しい解説
マルチマテリアルの実現方式
マルチマテリアル3Dプリントを実現する方式はいくつかあります。最も一般的なのは「フィラメント自動切替方式」で、複数のフィラメントを自動的にロード・アンロードしながら1本のノズルで印刷します。もう一つは「デュアルノズル方式」で、2本のノズルを搭載してそれぞれ異なる素材を吐出します。前者は切替時に廃棄(パージ)が発生しますが構造がシンプル、後者はパージが少ないですが位置精度の調整が必要です。
AMS(Automatic Material System)
Bambu Lab社のAMS(Automatic Material System)は、最大4色のフィラメントを自動で切り替えられるユニットです。複数のAMSを連結すれば最大16色まで対応可能で、フルカラーに近い表現が実現できます。フィラメントの残量検知や湿度管理機能も備えており、利便性の高さから多くのユーザーに支持されています。
マルチマテリアルの活用例
マルチカラー印刷では、塗装なしでロゴや文字の入った造形物が作れます。また、硬いPLAやABSとTPU(柔軟素材)を組み合わせることで、グリップ部分だけ柔らかいケースや、衝撃吸収機能を持つパーツなど、単一素材では不可能な機能的な造形が可能になります。水溶性サポート材(PVA)を使えば、複雑な形状のサポート除去も簡単です。
選び方のポイント
1. 対応色数・素材数を確認する
マルチカラーが目的なら対応色数が多いほど表現の幅が広がります。異素材の組み合わせが目的なら、対応フィラメントの種類(PLA、PETG、TPUなど)を確認しましょう。用途に合った柔軟性のあるシステムを選ぶことが大切です。
2. 廃棄量(パージ量)を考慮する
フィラメント切替方式では、切替のたびに前の素材を排出(パージ)するため、廃棄が発生します。パージタワーやパージ量の設定はスライサーソフトで調整でき、モデルの一部にパージを組み込む「フラッシュ to インフィル」機能を持つスライサーもあります。
3. 既存プリンターとの互換性
マルチマテリアルユニットは特定のプリンターモデル専用のものが多いです。これから導入する場合は、本体とマルチマテリアルユニットの互換性を確認しましょう。後付けで対応できるモデルもあるため、段階的に導入することも可能です。
まとめ
マルチマテリアル3Dプリントは、複数の素材や色を一度に造形できる先進的な技術です。対応する素材の組み合わせやプリンターの機構、設定の難易度を確認して導入を検討しましょう。表現の幅を広げたい方にとって、大きな可能性を持つ技術です。