MIL規格とは
MIL規格(ミルきかく)とは、アメリカ国防総省が制定した軍需品の品質・耐久性に関する試験規格の総称です。ガジェットの分野では特に「MIL-STD-810G」「MIL-STD-810H」と呼ばれる環境耐久試験規格が用いられ、ノートPCやスマートフォンの「頑丈さ」を示す指標として広く参照されています。MIL規格準拠をうたう製品は、落下、振動、極端な温度・湿度などの過酷な条件下でのテストをクリアしていることを意味します。
詳しい解説
MIL-STD-810G/Hの主な試験項目
MIL-STD-810は29のカテゴリ、数百の試験手順を含む膨大な規格ですが、ガジェットで特に注目される試験項目は以下の通りです。
| 試験項目 | 内容 | テスト例 |
|---|---|---|
| 落下(Method 516.8) | 衝撃に対する耐性 | 122cmの高さから合板面に26方向から落下 |
| 振動(Method 514.8) | 振動への耐性 | 輸送中を想定した振動を一定時間継続 |
| 高温(Method 501.7) | 高温環境での動作 | 30〜63度の環境で動作・保管テスト |
| 低温(Method 502.7) | 低温環境での動作 | -25〜-33度の環境で動作テスト |
| 温度衝撃(Method 503.7) | 急激な温度変化 | 高温から低温への急変に耐えるか |
| 湿度(Method 507.6) | 高湿度環境への耐性 | 95%相対湿度での長時間テスト |
| 砂塵(Method 510.7) | 砂やほこりへの耐性 | 粉塵環境での動作テスト |
注意すべきポイント
MIL規格準拠の表記には注意点があります。「MIL-STD-810G準拠」と書かれていても、全29カテゴリの試験をすべて受けているとは限りません。多くのメーカーは自社に関連する一部の試験項目のみを実施しています。また、第三者機関ではなく自社テストの場合もあるため、どの試験をどの条件で行ったかを確認することが大切です。
IPX防水規格との違い
MIL規格は「総合的な環境耐久性」を示す一方、IPX等級は「水に対する保護性能」に特化した規格です。MIL-STD-810に防水試験は含まれていないため、水濡れへの強さはIPX等級で別途確認する必要があります。
MIL規格準拠製品の代表例
ビジネス向けノートPCのLenovo ThinkPadシリーズやPanasonic Let’s note、学校向けのChromebook、アウトドア向けスマートフォンなどがMIL規格準拠を前面に打ち出しています。
選び方のポイント
1. 持ち運びが多い方は注目すべきスペック
通勤・通学カバンに入れて毎日持ち歩く方、現場仕事でPCやスマホを使う方にとって、MIL規格準拠は実用的な安心材料になります。特に落下試験をクリアしているモデルなら、万が一の落下時の故障リスクを軽減できます。
2. 試験項目の内容まで確認する
「MIL規格準拠」の一言だけで判断せず、メーカーの公式サイトで具体的にどの試験項目をクリアしているかを確認しましょう。落下テストと温度テストでは意味合いが大きく異なります。
3. 頑丈さと携帯性のバランス
MIL規格準拠のラグド(頑丈な)ノートPCは堅牢ですが、重量が増す傾向があります。通常のビジネスノートPCでもMIL規格の主要項目をクリアしている薄型モデルが増えているので、重さとのバランスを考慮して選びましょう。