低遅延モードとは
低遅延モード(ゲームモード / ゲーミングモード)とは、ワイヤレスイヤホンの音声遅延(レイテンシー)を通常よりも短縮する機能のことです。Bluetoothで音声データを送信する際には圧縮・伝送・復号の処理に時間がかかり、映像と音声のずれ(リップシンクずれ)が発生します。低遅延モードはこの遅延を最小限に抑え、ゲームや動画視聴を快適にします。
詳しい解説
なぜワイヤレスでは遅延が起きる?
有線イヤホンはアナログ信号をそのまま伝えるため、遅延はほぼゼロです。一方、Bluetoothイヤホンは以下の処理を行うため遅延が生じます。
- 送信側:音声データをコーデックで圧縮・エンコード
- Bluetooth経由でデータを無線送信
- 受信側:データを受信・デコードしてアナログ音声に変換
この一連の処理にかかる時間が「レイテンシー」で、一般的なSBCコーデックでは200〜300ms(ミリ秒)程度です。
コーデック別の遅延目安
| コーデック | 遅延の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| SBC | 200〜300ms | 標準コーデック。遅延は大きめ |
| AAC | 120〜200ms | iPhone標準。SBCよりやや改善 |
| aptX | 約60〜80ms | Android向け。SBCより低遅延だが環境により変動 |
| aptX Low Latency | 約40ms | 低遅延特化。対応機器は限定的 |
| aptX Adaptive | 約50〜80ms | 音質と低遅延を両立 |
| LE Audio(LC3) | 約20〜30ms | 次世代規格。低遅延が期待されるが実装依存 |
遅延が気になるシーン
- ゲーム: FPSや音ゲーなど、音のタイミングが重要なゲームでは100ms以上の遅延で操作感に影響が出ます
- 動画視聴: 映像と音声のずれは100ms以上で気になる方が多いです。ただし多くの動画アプリには遅延補正機能があります
- 音楽再生: 音楽を聴くだけなら遅延は気になりません。低遅延モードをオフにして音質を優先するのがおすすめです
メーカー独自の低遅延技術
Bluetoothのコーデックとは別に、メーカーが独自の低遅延技術を搭載しているケースもあります。専用アプリからゲームモードをオンにすると、バッファサイズの縮小などで遅延を低減する仕組みです。ただし、低遅延モード中は音質がやや低下したり、接続安定性が下がる場合があります。
選び方のポイント
1. 用途に合ったコーデックを確認
ゲーム用途ならaptX Adaptive対応モデルがおすすめです。送信側(スマホ)と受信側(イヤホン)の両方が同じコーデックに対応している必要があるため、お使いのスマホの対応コーデックも必ず確認しましょう。
2. 専用アプリでゲームモードが使えるか
多くの完全ワイヤレスイヤホン(TWS)は、専用アプリで「ゲームモード」や「低遅延モード」を切り替えられます。ワンタップで切り替えできるモデルが便利です。
3. 本格的なゲーミングには2.4GHzワイヤレスも選択肢
スマホではなくPCやゲーム機で使う場合は、Bluetooth以外に2.4GHz無線接続に対応したゲーミングイヤホン・ヘッドセットも検討しましょう。専用USBドングルを使う2.4GHz接続は遅延がさらに少なく、有線に近い応答性を実現できます。