ヘッドトラッキングとは
ヘッドトラッキングとは、イヤホンやヘッドホンに内蔵されたセンサーでリスナーの頭の回転や傾きを検知し、音の定位(聞こえてくる方向)をリアルタイムに調整する技術です。空間オーディオやDolby Atmosと組み合わせることで、頭を動かしても音源の位置が空間上に固定されたまま聞こえます。たとえば映画を観ているとき、右を向くとセリフは左耳から聞こえるようになり、まるで目の前にスクリーンがあるかのような臨場感を生み出します。
詳しい解説
ヘッドトラッキングの仕組み
ヘッドトラッキングには、主にジャイロセンサー(角速度センサー)と加速度センサーが使用されます。ジャイロセンサーが頭の回転方向と速度を、加速度センサーが傾きや移動を検知します。これらのセンサーデータを高速で処理し、音声のバイノーラルレンダリング(左右の耳に届く音を個別に計算する処理)をリアルタイムに更新することで、音の方向が頭の動きに追従します。
空間オーディオとの連携
ヘッドトラッキングは3Dサラウンド技術と組み合わせることで真価を発揮します。空間オーディオが3D空間上に音源を配置し、ヘッドトラッキングがリスナーの頭の向きに応じた音の聞こえ方をリアルタイムに計算するという役割分担です。AppleのAirPods ProではiPhoneやiPadとの連携でこの機能が動作し、SONYのWF-1000XM5やWH-1000XM5でもソニー独自のヘッドトラッキング機能を搭載しています。
ヘッドトラッキングの注意点
ヘッドトラッキング機能はバッテリーを追加で消費します。TWSの場合、ヘッドトラッキングをオンにすると再生時間がやや短くなることがあります。また、歩きながらや電車の揺れの中では、頭の動きと体の移動が混在してセンサーの検知が不安定になる場合もあります。じっくり座って映画や音楽を楽しむシーンで最も効果を発揮する技術です。
選び方のポイント
1. 対応イヤホン・ヘッドホンを選ぶ
ヘッドトラッキングにはセンサーが内蔵された対応製品が必須です。AirPods Pro、AirPods Max、Sony WF-1000XM5など、各メーカーの上位モデルに搭載されていることが多いです。
2. 利用デバイスとの組み合わせを確認する
ヘッドトラッキングが機能するには、再生デバイス側のサポートも必要です。Appleの空間オーディオはApple製品同士、Sonyの360 Reality Audioは対応アプリで動作するなど、エコシステムごとに条件が異なります。
3. 映画・動画メインなら優先度高
ヘッドトラッキングの効果が最もわかりやすいのは映像コンテンツです。音楽だけなら固定の空間オーディオでも十分な場合がありますが、映画やドラマをワイヤレスイヤホンで楽しむ方には強くおすすめできる機能です。