クロックジェネレーターとは
クロックジェネレーターとは、DACやデジタルトランスポートなどのデジタルオーディオ機器に外部から高精度なクロック信号(基準タイミング信号)を供給する装置です。デジタル音声の再生では、データを正確なタイミングでアナログ信号に変換する必要がありますが、このタイミングの揺らぎ(ジッター)が音質劣化の原因になります。クロックジェネレーターを導入することで、ハイレゾ音源の繊細な表現力を最大限に引き出すことができます。
詳しい解説
ジッターと音質の関係
デジタルオーディオでは、サンプリング周波数(44.1kHz、96kHz、192kHzなど)に基づいて音声データをアナログに変換します。この変換タイミングにわずかな揺らぎ(ジッター)が生じると、本来の波形から微妙にずれた信号が出力されます。人間の耳には「音場の曇り」「定位の不明瞭さ」「高域のざらつき」として感じられます。クロックジェネレーターは超高精度な発振器でこの揺らぎを最小化します。
クロックジェネレーターの種類
| 発振方式 | 精度 | 特徴 |
|---|---|---|
| TCXO(温度補償水晶) | 高 | コストパフォーマンスに優れる |
| OCXO(恒温槽付き水晶) | 非常に高 | 温度変化に強く安定性が高い |
| ルビジウム原子発振器 | 極めて高 | 最高精度だが高価で大型 |
OCXOタイプは水晶振動子を恒温槽で一定温度に保つため、環境温度の変化に左右されにくく、長時間にわたって安定した精度を維持します。ルビジウム発振器は放送局や計測機器レベルの超精密クロックですが、オーディオ用としても一部のハイエンドメーカーが採用しています。
クロック信号の伝送方式
クロック信号の伝送には、10MHz正弦波とワードクロック(44.1kHz、48kHzの倍数)の2種類が主流です。10MHzクロックは基準信号としてストリーミングDACなどに供給するタイプで、近年の高級DACに対応モデルが増えています。ワードクロックはプロオーディオ機器で標準的に使われる方式です。接続にはBNCコネクタと75Ω同軸ケーブルを使用します。
選び方のポイント
1. 手持ちの機器が外部クロック入力に対応しているか確認する
クロックジェネレーターの効果を得るには、DAC側に10MHzクロック入力やワードクロック入力の端子が必要です。対応していない機器には接続できないため、まずお手持ちの機器の仕様を確認しましょう。
2. 発振方式と精度で選ぶ
コストパフォーマンスを重視するならTCXOモデル、最高の安定性を求めるならOCXOモデルがおすすめです。ルビジウム発振器は究極の精度を求める方向けですが、導入コストと消費電力が大きいため慎重に検討しましょう。
3. 出力数と対応周波数を確認する
複数のデジタル機器にクロック信号を供給したい場合は、出力端子が2系統以上あるモデルを選びましょう。44.1kHz系と48kHz系の両方に対応できるかどうかも、再生する音源の種類に応じて確認が必要です。
まとめ
ここまでクロックジェネレーターの基本から選び方までを解説してきました。特に重要なのは外部クロック入力への対応確認で、そのうえで発振方式と精度を考慮するとよいでしょう。この記事が、あなたの製品選びの参考になれば幸いです。